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塗装できない屋根と言われて

先日、お見積りに伺った際のお話です。

お客様から

「屋根は塗装じゃ持たないから、カバーか葺き替えで考えています」とお話をいただきました。

私が伺う前にすでに数社の同業者さんが来ていて、皆さん口々に「この屋根は塗装では持たすことが出来ません」と言っていたそうです。

そこでお客様は「また数年後にこんな嫌な思いをしてお金も余計にかかるなら思い切って屋根は葺き替えてしまおう」と考えるようになったと話してくださいました。

「そんなに屋根の状態が悪いのだろうか・・・」そう思った私はまず図面を確認させていただきますと、そこには

カラーベストコロニアル葺 NM-9567

と記載があります

NM-9567と言えば、不具合の多く発生しているノンアス屋根材の防火認定番号です。

塗装出来ない屋根としても認知度は高いかと思います。

どうしても高額になってしまう工事のご提案をしなければならないのかと、ちょっとがっかりしながら実際の屋根を確認していきます。

すると「あれ?」

「綺麗だな・・」

ノンアスベスト屋根材の独特の傷みとして【反り返り】がありますが、反りはどうでしょう。

反りもほとんど有りません。

思っていたような状態ではなかったのです。

確かに欠けはありました。

ですが、これだけでクラックもほとんど見当たりません。

では他社さんは何故カバーや葺き替えを勧めたのか?

きっと図面にある認定番号だけで判断しているのだと思います。

逆に証拠があるから、より高い施工代金になる工事を勧めて来たのかもしれません。

ですが、図面が必ずしも確かではない事が多いのも、業界としては常識です。

建築物石綿含有建材調査者資格でも調査の際は図面図書と実際に使用されている部材を必ず目視する事と義務化されているくらいですから、目視で分かる事と言えば、この形はグリジェイドシリーズなのは間違いありません。

そこで詳しく調べてみると、こちらのお宅が新築されたのは2014年4月。

NM-9567だとすると、使われているのは グリジェイドNEOのはず。

こちらの製造期間は2001年から2007年で、こちらのお宅が建った2014年にはすでに終売となり、2008年から構造方法を改めて新しく製造が始まったグリジェイドクアッドが使用されていると考える方が自然との結論に至りました。

このグリジェイドクアッドは現行品と同じNM-2093になり塗装メンテナンスを行えば、何十年と強度維持が可能となっています。

https://www.kmew.co.jp/shouhin/roof/shohin_shosai.jsp?id=485

↑屋根材メーカー ケイミューのHPへ

図面ではノンアス屋根材を表すNM-9567と記載はありましたが、実際の状態の確認と新築時に販売されていた屋根材の製造時期を合わせて考えると間違いなく現行品となります。
だって2014年に2008年で終売した屋根材を終売から6年後の2014年に建つ新築に使ったとは考えにくいですよね。

塗装可能に至る根拠

塗装可能と結論を出すまで全て調べ終えてから気づいた事があります。

普段、立面図は計測にしか使用しないので確認が最後になってしまったのですが、下の方に屋根材の防火認定番号が新しく更新されていました!

この位置に記載がある事自体とても珍しく、仕様書や確認申請書ばかり見ていて見逃していましたが、それが一般的な調査方法であったとも思います。

実は最初から問題無いと証明されていた。

実は最初から、この屋根は塗装しても問題無いと図面においても証明がされていたにも関わらず、何故こんなにも他社さんが口を揃えて『カバーや葺き替え』を勧めてきたのか。

考えられるのは

  • 工事金額を膨らませ利益を出しやすくするため
  • 単に知識不足
  • お客様の不安を利用し話を合わせて、今後も安心して暮らせるようにする為の工事として勧める

こんなところが考えられます。

どの業者も知識や技術も同一と考える事は、とても危険なのです。

数社のうち、この屋根のどこが不具合なのか?と疑う業者はぺんき屋美装以外いなかったという訳です。

つまり結局誰もお客様の事など考えていなかったという事になりますね。

怖いのは一社が塗装出来ない言うと、他の業者まで口を揃えて塗装出来ないと便乗してくる事です。

私は今回のお見積りが、何故このような展開となったのかを、以下のように考えました。

誰もがノンアス屋根材の基礎として考える屋根材の防火認定番号ですが、実は建物を建てる上ではノンアスであろうが無かろうが関係無いのです。

問題になるのは防火認定番号の有る物が使用されているかどうかのみです。

きっと建物を建てるにあたり申請は過去の防火認定番号を用い申請を通して、そのままその規格に沿った屋根材を使った。

それがNM-2093と規格変更を立面図に記載した。という流れだったのだと考察します。

それが後に、屋根を塗装出来るかどうかの判断基準になるなど当時は全く思いもよらなかったでしょう。

見ただけでは無く、図面を通し、また新築年数を考慮して行かないと適正な答えが出せないのが、ノンアスベスト屋根の判断となります。

無駄な出費をしたくなければ

危機感を煽る業者や、高額な工事ばかり進める業者、何故大掛かりな工事が必要か納得の行く根拠が示せない業者の言う事を信じては行けません。

まして、初見の業者さんに自分から他社の言った事をそのまま話してはいけません。

分からない分野だからこそ不安になりやすい

結果論ではありますが、見積もりに来る業者に「お客様は現在の屋根に不信感や不安感を持っているから、これはチャンスだ」と思わせてしまったのは間違いありません。

今回はそこが起因となり、ご自身の不安に応えてくれる業者選びとなり、本来の目的からかけ離れた業者選びとなってしまったよう思います。

また、そういう業者程、口が上手く説得されてしまいがちですので、くれぐれもしっかりお家の事を自分事のように一緒に考えてくれて、貴方の要望に寄り添った工事をご提案してくれる業者さんを探しましょう。

シンプルにそれが一番大切なんです。

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_______ この記事を書いた人 ________

多田 勇

プロフィール

東京都町田市の有限会社ぺんき屋美装代表取締役、40年以上住宅塗装に携わり、様々な新建材の使用された結果を見て来た経験から、塗装だけではなく建物に使用されている建材の状態や問題があればその建物の状態を正しく理解し、最善の施工の提案が出来るようひと月の施工件数を6棟までとし、お客さま一人一人にしっかりと寄り添い、本当に必要な工事を提供している。

保有資格

建築塗装一級技能士・二級施工管理技士(仕上げ)・NTスラリー瓦塗替え工法施工者認定・水谷ペイント認定技術者・スーパーセランフレックス 認定施工店・一般建築物石綿含有建材調査者

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